Chapter3 -2-#02 - TopGear
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Chapter3 -2-#02 

【#02】






放課後になり、帰り支度のために教室へと向かっていた瀬能は、

『天音のヤロォ、結局一度もツラ出さねぇで、ったく・・・』

誠二への不満をブツブツとぼやいていた。

――その時、

『おっと!』

一組の教室から出てきた男子と危うく接触しそうになる。

『あ、ワリぃ』

咄嗟に謝ったが、こういう時、大抵の人は瀬能を見ると怯えた表情で、そそくさと逃げていくものだった。
ところが、意外なことに目の前の人間は、物怖じするどころか、親しげに声を掛けてくる。

『あーっそのトサカ頭! 瀬能くんだ!』

『え?』

知り合いか? と、瀬能は目を細め、その顔を確認する。傍から見ればガンを飛ばしているようだが、
顔の判別が効かないので致し方なかった。

ただ判るのは、元気に跳ねる赤い髪――。

(こいつ、一組の問題児――!?)

『いやいや、災難だったねぇ。もう身体は大丈夫?』

『はぁ。まぁ・・・おかげさまで?』

『うしし、誠ちゃんの頭は凶器だから』

なにがそんなに嬉しいのか。笑う安嬉を瀬能が不思議そうに眺めていると、今度は二組の問題児まで
瀬能を見て駆け寄って来た。

『瀬能! 大丈夫か?』

『ん? ああ。天音か』

『悪かったな。様子見に行こうにも、休み時間の度に千葉が奇襲を掛けてきてな・・・』

誠二は申し訳なさそうに頭を掻いた。

『千葉ちゃん発狂してたもんね~』

『あ~・・・』

恨み言のひとつもぶつけてやろうとしていた瀬能も、誠二の境遇にすっかり毒気を抜かれてしまった。
更にそこへ、同じクラスの女子までもが瀬能に話し掛けてくる。

『瀬能くん。これ、今日の授業のノート。よかったら使って』

『え? え?』

想定外の事態に驚きつつ、クラスの女子の名前など覚えていない瀬能は、受け取ったノートから必死で
“白石 夏花”という名前を読み取った。

『あ、あー白石か。サ、サンキュ、助かるよ』

『ごめんね。せいじくんが迷惑かけて』

『いや、別に・・・』

『さーすがなっちゃん! 出来の悪い弟を持つと苦労するね~』

『誰が弟だ!』

ツッコミと同時に、誠二は安嬉の首に腕を回しヘッドロックをかけた。

『オラッ練習に行くぞ! じゃあな、瀬能!』

照れ隠しなのか、誠二は安嬉を脇に抱えたまま、乱暴に歩き出す。

『じゃあねー、トサカの瀬能くん♪ お大事に~』

『あ、待ってよー! ごめんね。瀬能くん、お大事に!』

そう言って、夏花も小走りで二人の後を追いかける。

そんな仲の良い三人が少し羨ましくて、彼らの背中を瀬能はいつまでも見送ってしまった――。


『おい、瀬能ぉ! お前、天音とトラブったって?』

入れ替わるように声を掛けてきたのは瀬能のバンド仲間、小西だった。

『ああ、いや、トラブったっつうか・・・』

『なになに? それってケンカ!? マジヤベーっしょ!』

テンション高く会話に入って来たのは、同じバンド仲間の椋平(ムクヒラ)である。

『いや、ちょっと廊下でぶつかっただけで、大した事ねぇよ』

『気をつけろよ? ライブは明後日なんだからな』

『ああ、わかってる』

『今日の練習は行けるんだろうな?』

『ああ、もちろん』


◇                    


帰り支度を終えた瀬能が、小西らと連れ立って教室から出ようとしたちょうどその時、誠二と千葉が
地響きと共に廊下を駆け抜けて行った。

『ははっ、まーた天音は鬼ごっこか。懲りねぇなぁ~』

『あははは! マジヤベーっしょ!』

『やっぱあいつをウチに入れなくて正解だったなあ!』

かつて勧誘を断られた小西と椋平は、誠二の苦難をいい気味だとばかりに笑う。

遠くで誠二の絶叫がこだまする――


『ご愁傷様』


そう呟く瀬能の声には、同情と皮肉が入り混じっていた。





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category: story 1

thread: 創作モノ

janre: その他

Posted on 2013/09/14 Sat. 20:00  edit  |  tb: --  cm: 0  

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