Chapter1 -2- - TopGear
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Chapter1 -2- 

【#01】

――翌日、
夕方から夜にかけて雨の予報――
昼には灰色の雲が重く空を覆っていた。


雨が嫌いな誠二は、午後の授業をサボリ
他のメンバーより先にスタジオに入っていた。



『大事なモノを失う・・・か』



前日の奏の言葉を反芻しながら、誠二はその言葉が意味するものを考えていた。

誠二にとっての「大事なモノ」

誠二はその腕に抱えたギターを優しく撫でる。

お年玉をコツコツ貯めて、やっとの想いで手に入れたギターは、愛着も一入だった。


独りきり、静かなスタジオの個室。
チューニングを終え、誠二はギターを弾きながら更に考えを深めた。

(夏花や家族、友人の事はもちろん大事だ――。

だけど音楽は・・・それらとは比べられない程に、オレの中で比重を増している。

もしギターを弾けなくなったら・・・?

オレに何が残る? また、ケンカに明け暮れたあの頃に戻るのか?)


ふいに安嬉の顔が浮かんだ。

(あの時、あいつがバンドに誘ってくれなかったら・・・今こうして仲間達と同じ夢を追えただろうか?
音楽、ギター、仲間、夢・・・――そのどれもが今は繋がっている)

誠二は自分の手に握られたピックを見つめた。

(最初はこれだけだった・・・オレを支えてくれたのは。

だけど今はもう・・・・こんな掌になんて収まんねぇよな)


あの頃から見ればまるで奇跡のようだ。


誠二はピックを握り締めながら、その奇跡を静かに噛み締めた。




【#02】



『そろそろ授業も終わった頃か・・・』

ふと入口の扉に視線を移した誠二は、心臓が止まりそうな程に驚いた。

『!?』

『よぉ~』

そこには厚い防音ドアに寄り掛かる、あの男の姿があった。

(いつの間に――!?

この男・・・・
オレが気づかないうちにドアを開けて
気配を感じさせずにずっと立っていたのか・・・!?)



誠二はゾッとした。


『確かぁ、セイジくん・・・? とか言ったっけ?』

『そ、そうだが・・・あんたは・・・? オ、オレになんか用か?』

突然の来訪者に虚をつかれた誠二は、戸惑いを隠せなかった。

奏からこの男には関わるなと、念押しされている。

それがまさか昨日の今日で向こうからおでましとは――。



【#03】



男は誠二の警戒心と、動揺した挙動を見て取り、肩を震わせ笑い出した。
そしてからかう様に、扉をコンコンとノックしてみせる。

『ククク、開いてたぜ? ドア』

『え? あ、えぇ?』

『ギター、聴かせてもらったぜ』

『!!』

誠二は状況を飲み込むと思わず赤面した。


――そういえばさっき・・・・

「他に客も居ないし、ちょっと買出し行ってくるわ。あんたは適当に練習してな」

と、誠二がスタジオに着くなり店のドアに準備中の札を掛け、奏は出掛けてしまったのだ。


奏のこうした行動は、そう珍しい事ではなかった。
だが、突然店内に独り取り残された誠二は、心細さから個室の扉を閉めずに
ギターの練習をしながら安嬉達の到着を待つことにしたのだった。

そして、何事においても一度熱くなると周りが見えなくなる誠二は
ギターに熱中するあまり、男の気配にすら気付かなかったのだ。


『見かけによらず抜けてんなぁ?』

『か、かたじけない!』

『ハハハ! いいね! いいねぇセイジくん! キミ面白いねぇ! センスあるよ!』


男に盛大に笑われ、誠二は自分の間抜けさを恥じ入り、肩をすくめ小さくなった。

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Posted on 2012/03/25 Sun. 00:00  edit  |  tb: --  cm: 0  

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