Chapter1 -1- - TopGear
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Chapter1 -1- 

【#01】


『久し振りだなぁ、カナ?』

男はニヤニヤといやらしい笑いを奏に向ける。


『・・・・菊原!!』

『お前また別のバンドに寄生してんのかよ? だったら俺んとこ来いよ。歓迎するぜ?』

『は! てめぇの冗談は笑えねぇんだよ!』

『クク、相変わらず口の減らねぇ女だなぁ』

『大体てめぇ何しに来たんだよ!? こっちはてめぇの相手してる暇なんかねぇんだ!
とっとと消えな!』

『おいお~い、冷てぇなぁ。昔のよしみで頼みがあんだよ』

『あぁ!?』

男の「頼み」の言葉に奏は眉根にシワを寄せた。
明らかに迷惑そうな顔を見せる奏だが、男は気にも留めず話を続ける。

『近々ライブだってのに、賦雨魔<プーマ>のヤツが消えやがってよぉ』

『なんだ、また逃げられたのか』

『クク、吐死夜に、責任とってボーカル探してこいって言われてよぉ
誰でもいいからボーカル紹介してくれねぇか? なぁ?』

ヘラヘラと笑いながら話す男に、奏は虫酸が走る思いだった。

(こいつまだメンバーイビリしてんのか!?
トシヤもどうしてこいつの暴走を止めねぇんだよ!!)




【#02】



奏は歯ぎしりしながら男を睨めつけた。

『ボーカルならてめぇでやりゃいいだろ!』

『ハハ、分かってねぇなぁ。リードボーカルがいなきゃダメなんだよ~』

『ふん! 知るかよ! 他当たりな!』

奏は男の要求を突っ撥ねた。

『なんならお前の下手くそな唄でもいいぜ~?』


(コイツにとってボーカルは飾りか?
冗談じゃない!これ以上こんな男に構ってられるか!)


奏は男の戯言を無視してスタジオへ戻ろうと身を翻した。



次の瞬間、
奏は心配そうに佇む誠二と目が合った。


『誠二・・・!』

『姐さん、どうした?』

いつからそこに居たのか――
奏は思わず息を飲んだ。



【#03】



奏は内心焦っていた。
沸点の低い誠二と菊原では相性が悪すぎる。
なんとかこの二人を遠ざけなければ――

『なんでもねぇよ! とっとと中入れ! 糞ウニ!』

その焦りを二人に悟られぬ様に、奏は平常心を装いつつ
いつもの調子で乱暴に誠二を追い立てた。

『・・・・?』

誠二は釈然としないといった表情を見せる。
――が、奏は鋭い視線でそれを一蹴。

誠二はそそくさと店内へ逃げ込んだ。


それを見届け、安堵したのもつかの間。
菊原が余計な口を挟む。

『高校生バンドか。どうせゴミみてぇなバンドなんだろ~?』

『うるせぇ! さっさと消えろ!』

『ククク・・・どうやら、お前のお気に入りらしいなぁ』

『てめぇには関係ないだろ』

奏は腹の内を見透かされた様で、思わず反論してしまった。

『また来るぜ』

『今度来たら、そのツラにこの釘バットぶち込んでやるよ! 覚悟しな!』

『お~こえぇこえぇ、ハハハ!』

『ちっ!』




【#04】



男が去った後、奏は店先に豪快に塩を撒き始めた。
明らかにイラついている奏の姿が、誠二は気になって仕方がなかった。

『姐さん、あいつ誰なんです?』

『あぁ!? てめぇ何見てんだよ! 大人しく練習してろウニ!』

『もしかして・・・昔の男・・・・!?』

『ぶっ! ざけんな!! 糞ウニ!!!てめぇ毎度人の神経逆撫でしやがって!
あんなクソゴミが昔の男なわけねぇだろ!』

誠二はまたしても奏の地雷を踏んでしまった。
奏は鷲掴みにした塩を誠二に叩き付けんばかりに大きく腕を振りかぶっている。
誠二は咄嗟に身構え目をつぶった。


――が、一向に塩の雨は降らない。
誠二はそっと目を開けた。

目の前の奏は、すでに力無く腕を下ろしていた。


『なぁ、誠二・・・』

奏は一呼吸置き、真っ直ぐに誠二を見据えた。

『あんたは短気で、キレたら見境無く突っ込む馬鹿だから忠告しておく。
あの男にだけは絶対に関わるな! いいね!』

『そんなにヤバいヤツなのか?』

『あぁ・・・大事なモノを失いたくなかったら、あいつの事はもう忘れな!』


奏はそれだけ言うと事務所に引きこもってしまった。

『あ・・・・』

誠二はまだ聞きたい事があったが、再び奏の地雷を踏んでしまう事を恐れ
そのまま言葉を飲み込んだ。



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Posted on 2012/03/24 Sat. 00:00  edit  |  tb: --  cm: 0  

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