Chapter2 -4-#02 - TopGear
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Chapter2 -4-#02 

【#02】





『それで? 話ってのは何だ?』

『そうそう。私ね、乃くんに曲を作ってほしいの!!』

『曲を? 何でまた?』

『私ね、乃くんが作る曲、全てに惚れてるの!! どの曲も情景が目に浮かぶようで・・・
そんな素敵な曲を、私も歌ってみたいの、どうしても!!』


臆面もなく力説する彼女の澄んだ瞳に、東久留米は呑まれてしまいそうだった。
純粋で真っ直ぐなその想いは、熱を持って彼の右手にも、直に伝わる。


『それは、まぁ、光栄なことだが・・・』


含みのある言い方と、東久留米が手元に落とした視線に、ミザリーはようやく、
自分が彼の手を強く握りしめていたことに気がついた。


『――あっ!! ご、ごごごめんなさい!!』


慌ててその手を振りほどいたミザリーは、顔を赤らめ、しぼむように小さくなった。


『私、つい熱くなって・・・』


大人びた彼女の内に、年相応の少女の顔を垣間見て、東久留米はどこか安心したように
小さく微笑む。


『クールに見えて、あんたにもそんな一面があるんだなぁ』

『・・・あの、時間はいくら掛かっても構わないから、お願いできないかな?』

『構わんよ。一曲くらい、奢ってもらう礼だ』

瞬間、ミザリーの顔がパッと輝いた。

『ほんと!? 嬉しい!!』

『ところであんた、紙とペンは持ってるか?』

『えぇ、持ってるけど・・・。え? 今ここで書くの?』

『こういうのはインスピレーションが大事なんだ』


その言葉にハッとしたミザリーは、すぐにバッグから五線譜のノートとペンを取り出した。
東久留米はそれを受け取ると、


『このフレーズ、いつか使おうと思ってたんだが、あんたのイメージに合いそうだ』


そう言ったきり、運ばれてきた熱々ジューシーなハンバーグステーキに目もくれず、
凄まじい集中力で、一息にその曲を書き上げていく。

ミザリーはそんな彼の様子を、ただ粛然と見守った。



しばらくして、顔を上げた東久留米が、照れくさそうに譜面を差し出した。


『殴り書きで悪いが・・・』


ミザリーはその譜面に、ゆっくり目を通し、メロディーをイメージしながら目を閉じた。


最初は静かなハミングだった。




“――Set my little strawberry...

Darling,it's all your love

I will show to you the stars

I won't cause you any tears

I've waited here for you

Believe me ――”




生まれたばかりのメロディーに、迷いなく、英詞で魂を吹き込む彼女の甘い歌声に
東久留米は、酔いしれ聴き入った。



『驚いた。あんた、本当に上手いな!』


そして、なにより綺麗だ――と思う。
そんな彼に、ミザリーは満面の笑みで応えた。


『ありがとう乃くん! ほんとにありがとう!! 私、大切に歌うね!!』


日頃から人に感謝される事に慣れていないせいか、東久留米は当惑する。


『んな、大したもんじゃねぇよ!! イチイチ大げさ過ぎんだよ、あんたは!』


そう無愛嬌に言ってのけると、東久留米は箸を引っ掴み、ハンバーグステーキを勢いよくほおばった。
しかし、かつて熱々だったハンバーグステーキも、今ではすっかり色褪せ、鉄板の上で冷め切っている。

それでも――宝物を手に入れた子供のように、キラキラした瞳で、嬉しそうに譜面を眺める
彼女を前にすれば、不思議と温かく、それがなによりも贅沢なご馳走に思えてくるのだ。


『悪くない』


小さく呟いた東久留米は、満足そうにその味を噛み締めた。





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category: story 1

thread: 創作モノ

janre: その他

Posted on 2012/09/02 Sun. 20:00  edit  |  tb: --  cm: 0  

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