Chapter2 -3-#02 - TopGear
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Chapter2 -3-#02 

【#02】






客達が去った後も、彼女だけはそこから動こうとしなかった。


『俺ぁもう帰るけど・・・まだ何か?』

『あなた名前は?』

『・・・東久留米』

『長いわ。ファーストネームを教えて』

東久留米はこの質問が嫌いだった。

『・・・ない』

『無いの? 名前?』

『違う。“乃”だ』

『ああ、ごめんなさい。乃くんね』

無益に繰り返される、この皮肉なやり取りに、彼は毎回辟易していた。

『そういう、あんたは何者だい?』

『私はミザリー。私もちょっと楽器や歌をかじってて。今バンド仲間を探してるの』

『そうか。・・・まぁ、がんばんな』

『ねぇ! 帰る前に私の歌、聴いてくれない?』


東久留米の返事を待たず、ミザリーは自分のギターを取り出し歌いだす。
優しい旋律に乗った英歌詞のバラードは、とても柔らかく、美しかった。


(――こいつ、巧い・・・!)


その評価は歌だけでは無い。
ギターの演奏技術も、弾き馴れた東久留米が舌を巻く程、卓越したものだった。


『ふぅ・・・どうだった?』

演奏を終え、ミザリーは満足そうに東久留米を見上げた。

『ああ・・・なかなかの腕だな』

『ふふ、ありがと。ちょっとは気が変わったんじゃない?』

『それとこれとは話が別だ。バンドは組まんよ』

『もうっ、つれないわね! 女の子の誘いはもっと紳士的に断るものよ?』

『し、紳士・・・?』

戸惑う東久留米に、ミザリーはいたずらっぽく笑う。

『じゃあ、また金曜日。ここに来るからお話ししましょ』

『は? お話しって、いや、その・・・』


なんとも歯切れの悪い東久留米に、『またね』と手を振り、微笑んだ彼女は
金の髪をさらりとなびかせ、夜風に甘い香りを残し、静かに去っていった。


『参ったなぁ・・・』


東久留米は頭を掻いて、小さく溜め息を吐く。



『13日の金曜日ってのも伊達じゃねぇな・・・』





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category: story 1

thread: 創作モノ

janre: その他

Posted on 2012/08/24 Fri. 20:00  edit  |  tb: --  cm: 0  

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