prologue -2- - TopGear
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prologue -2- 

【#01】

一方その頃、

担任の長引く話のせいで、安嬉に大きく遅れをとった瀬能と誠二は
二手に別れ、必死に汚迦魔を撒いていた。


千葉のメインターゲットは、誠二であるはずだが
なぜかとばっちりで、瀬能が最も敵視されていた。

少しでも隙を見せれば、千葉は容赦なく瀬能の喉元に喰らい付き
その息の根を止めにかかるだろう。


千葉の殺意に満ちた眼に日々曝されていたせいか
瀬能は、いささかナーバスになっていた。

常に周囲を警戒し、微かな物音にも過敏に反応してしまうのだ。


そんな瀬能がスタジオまでもう一息、という所で足を止めた。

そこの角を曲がった辺りから、なにやら不気味な音が聴こえてくるのだ。


規則的に空を切る音――



ブン! ブン! ブン!


瀬能は音源を確かめるべく、怖る怖る曲がり角を覗き込んだ。



ブン! ブン! ブン!



瀬能は音の正体に絶句した。



【#02】



そこには釘バットで素振りをする、音楽スタジオ【corner】の看板娘、
の姿があった。

その光景、一般人が見れば絶対に関わりたくないと思う事だろう。
間違っても道なんて訊いたりしない。

しかし、くる日も、くる日も汚迦魔と言う狂気から追い廻され
いくつもの死線を潜り抜けてきた瀬能の目には
彼女の姿が救世主の様に、とても頼もしく見えた。


(・・・なるほど、あの凶悪な汚迦魔を制する力は
こうした日々の鍛練の賜物なのか・・・・・)


夕日を背に、美しいフォームでストイックにバットを振る奏の姿に
瀬能は深く感銘を受けていた。

彼は影ながら努力する人間が好きだった。



『お?』

瀬能に気づいた奏が素振りを止め、バットを肩に担ぎ話かける。

『おう! 来たかトサカ』

『・・・・・・』


奏は額に玉の汗を光らせていたが、その出で立ちは
「爽やか」とは程遠いものであった。

艷やかな黒髪がかかる耳には、幾つものピアスが列び
指には髑髏の指輪。手首にはゴツめのスタッズブレス。
レザージャケットから見えるインナーには、大きくプリントされた
髑髏模様の蜘蛛が、チラリと顔を覗かせる。


どっからどうみてもパンクなファッション。
そして化粧によって威力を増した目力に、異彩を放つ釘バット―



【#03】



瀬能は思う、


(改めて見るとただの鬼じゃねぇか)



もちろんこの釘バットは奏の自作ではない。
汚迦魔の愛称で親しまれている彼女の幼馴染み、ハジメ
不良共から回収した、数ある戦利品のひとつである。

それを 「あんたに持たせると危険だ」 と、奏が没収したものであった。


今ではその釘バットも元の持ち主、ハジメを狩る為の凶器として
立派に社会貢献を果たしている――。


奏は、 まるで鬼でも見る様な瀬能の視線に気付いた。

『ん? 何見てんだよ』

『いや、なにも』

奏に睨み返された瀬能は、慌てて目を伏せ、オタオタとスタジオへ逃げ込んだ。



【#04】



『さて、残るは一人』

瀬能が入店したのを見届け、奏は気合いを入れ直し、最後の一人
誠二が来るのを、道の先を見据えたまま静かに待ち構えていた。



“Top Gear”に関わりだしてから、奏の気苦労は絶えなかった。

メンバーは毎日楽しくオカマと追いかけっこ
スタジオ内ではお茶会、練習そっちのけで騒いでばかり
真面目にやる気があるのかないのか・・・・


しかし奏は、なんだかんだとこの賑やかな日常に充実感を覚えていた。

彼らの潜在的な力を引き出し、バンドの成長を支え
間近で見守っていけるのだ。

彼女にとって、それは最高の喜びだった。


奏は自分が浴びる事のないスポットライトが
大舞台で彼らに当たるのを、心から楽しみにしていた。

それが今の彼女の夢であり、目標であった――



だがそこに、彼女の夢を打ち砕く、滅びの影が忍び寄る。


『看板娘が店先で釘バット持って仁王立ちとは・・・
そんなんじゃ客も逃げるぜ?』

『あぁ!?』

背後から突然声をかけられ、奏は鼻息荒く振り向いた。

そこには紫色の髪を逆立てた、一人の男が立っていた。





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Posted on 2012/02/26 Sun. 00:00  edit  |  tb: --  cm: 0  

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