Chapter2 -1-#02 - TopGear
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Chapter2 -1-#02 

【#02】






『唄? ・・・ですか?』

女性教師は、唄と団子が結びつかないのか、きょとんとしながら横山へ聞き返した。

『はい。とても綺麗な歌声で、店先で彼女の奏でる三味線の音色と唄を聴きながら食べる
団子ってのが、また風情がありましてねぇ~』

『へぇ~素敵ですね!』

『横山先生にそんな感性があるとは驚きですね~』

相変わらずの学年主任のイヤミだったが、横山は鷹揚(おうよう)に笑い飛ばす。

『はははは! これでも私は吹奏楽部の顧問ですよ?』

『あれ? それって、たまに店先で三味線を弾いてる、着物姿の娘さんですか?』

『ええ、そうですよ』

横山の返事に、訊ねた松岡は釈然としない様子である。

『しかし僕は彼女が唄ってるところ、見た事ありませんよ?』

『それは・・・』


横山の表情が曇る。


『彼女が声をなくしてしまったからですよ』

『声を・・・?』

『ええ、ある時からパッタリと。彼女の唄は、声と共に消えたんです』


語る横山の眼差しは、どこか寂しげだった。



 「もう唄わないの?」

そう横山が尋ねると、彼女はにっこり笑うだけ。
そしてまた、静かに三味線を奏でる。

陽が傾いてきた頃、店の女将が彼女を労って
「お駄賃」と言って、団子を一皿振る舞う。

すると彼女は、ニコニコと嬉しそうに、それを受け取り
幸せそうに食べるのだ――。


そんな温かくも、切ない情景は、今でも横山の脳裏に鮮明によみがえる。


『三味線の音色も良いものですがね・・・』


窓から望む夕焼けの空に、横山は思いを馳せる。


あの頃のように――



『私はまた、彼女の歌声を聴きたいなぁ・・・』






三味線





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category: story 1

thread: 創作モノ

janre: その他

Posted on 2012/08/19 Sun. 20:00  edit  |  tb: --  cm: 0  

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