prologue -1- - TopGear
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prologue -1- 

【#01】

都立小夜美高校――

校則の少々厳しい、ありふれた公立高校、

そこに通う一年生、義心 安嬉
終業のチャイムが鳴ると同時に教室を飛び出した。
放課後のサバイバルタイムは、何よりもスタートダッシュが肝心なのだ。


安嬉が“Top Gear”を結成して、ひと月以上が経過していた。
現在メンバーは四人。

ギターの誠二、ドラムの瀬能、ベースの安嬉、ボーカルのミツ
たまに誠二の幼馴染み、夏花が顔を覗かせる。

安嬉はそのバンドのリーダーを務めていた。



メンバーが揃ってからはほぼ毎日
学校からスタジオまでの全力走り込みが
安嬉、誠二、瀬能ら三人の「日課」となっていた。


なぜなら、同校の三年生、汚迦魔の異名を持つ不良の頭
千葉 一が、誠二を我がモノにしようと、毎日牙を剥き
襲い掛かってくるのだ。


そして、千葉に捕まったが最後――
筆舌に尽くしがたい制裁が、彼等を待ち受けているのである。


「放課後に生きてスタジオに辿り着く事」

それが彼等の至上命題であった――。



【#02】


スタジオまでの道のりを、いつもの如く走っていた安嬉は
視界の端に小さな影を捉え、思わず足を止めた。

『みっちゃん?』

安嬉に声を掛けられ、道端でしゃがみ込んでいたミツが振り返る。

『何してるの?』

『へへへ』

ニコニコと嬉しそうに笑うミツの足元を、安嬉はそっと覗き込んだ。


そこには、仰向けに寝転がり、バンザイしながらゴロゴロと喉を鳴らし
優しく撫でるミツの手にうっとりと身を委ねる、白い子猫の姿があった。

『可愛いね~』

『ね~』

その光景にほのぼのと和む安嬉だったが、遅くなれば
また、別の制裁が待っている事を思い出し、『そろそろ行こうか?』
とミツを促した。


『・・・うん』

ミツは名残り惜しそうに子猫に手を振った。



『今日は瀬能達と一緒じゃないの?』

ミツの質問に安嬉は辺りを見廻した。

『そう言えば、いないね~
自分の事で必死で、そこまで気が回らなかったや~にゃははは』

安嬉は能天気に笑った。

『ふ~ん』

安嬉達が何をそんなに必死になっているのか
ミツはいまいち理解していなかった。


ミツはギアの最大の天敵である千葉を畏れていない。

むしろ手懐けてしまう程で、先ほどの子猫の様に
一瞬で千葉の毒気を抜いてしまう度量があった。



それはまさに魔を祓う聖水――

その聖水(ミツ)を手に入れた安嬉は


このマップは楽勝で攻略出来るぜ!

と、余裕綽々歩きながら、鼻歌を歌いだした。


それにつられたのか、ミツもハミングを重ねる。
途端に周囲の視線が集まりだしたのを安嬉は感じた。



【#03】



ミツのハミングには優しく、不思議な透明感があった。
もっと聴いていたいと思わせる心地良さに、道行く人も思わず会話を中断し
振り返り、足を止める。



安嬉はミツと初めて出逢った時の事を、思い出していた。

(あの時はこんなもんじゃなかった・・・)

安嬉の中に「あの時」の熱が蘇る。

(またあの時みたいに唄ってくれないかなぁ~)



しかしミツは、バンドの練習になると、真面目に唄おうとしない。


たまに唄うが全力を出していないのは、明白だった。

そして気付けば、ティータイム。

そのうちに練習大好きな瀬能がキレて、ミツをどやす。
その度に安嬉が瀬能をなだめ、ミツを説得し――

そんな一連の流れが、いつしか「お約束」になっていた。



普段は、のほほんと構えている安嬉だったが、
内実、水と油の様なこの二人に頭を抱えていた。


一度その事を誠二に相談したのだが、

「鳴かぬなら 殺してしまえ ホトトギ・・・」

と、なにやら物騒な発言を返され、挙句

「鳴かぬなら 鳴かせてみせろよ ホトトギス」

と、結局丸投げされてしまった。

以来安嬉は、この問題を打開すべく、ひとり頭を悩ませていたのだった。


『ねぇ、みっちゃん?』

『うん?』


「どうして練習だと真面目に唄わないの?」


この機会に本人に直接訊いてしまおう!
そう思った安嬉だったが、言葉が続かなかった。

『・・・いや、やっぱいいや』

不思議そうに見つめるミツに、安嬉は笑顔で返した。
元々、音楽をやる気のなかったミツに、こんな質問は野暮だったのだ。


『なんだよ~』

ミツが口を尖らせ膨れて見せた。
それを見た安嬉がクスクスと笑い出す。

『みっちゃんて、カエルみたいだよね~オヤツ食べる姿とか
その顔とか~』

『カエル!? Frog!?』

意表をつかれ瞬くミツに、安嬉は益々笑いが込み上げる。
ミツもつられて笑い出した。


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Posted on 2012/02/25 Sat. 00:00  edit  |  tb: --  cm: 0  

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