Chapter1 -4-#04 - TopGear
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Chapter1 -4-#04 

【#04】






『なるほど、お前の真剣さは分かったよ』

『じゃあ一緒に』

『早まるな』

はやる安嬉を制して、誠二は傍らのギターに手を伸ばすと、ヘッドホンを装着し、
素早くチューニングを始めた。

『誠ちゃん?』

『ひとつ言っておく』

誠二は立ち上がるや自分のヘッドホンを安嬉に渡し、ギターを構える。
その右手には、あのピックが握られていた。


『オレの夢は、日本中を沸かせるギタリストになる事だ』


安嬉がヘッドホンを装着したのを確認し、誠二は演奏を始めた。


『――“イザナイ”!?』


イントロでそれと判った安嬉は、誠二の演奏を食い入るように見つめる。


一曲の演奏に、かなりの体力を消耗する“イザナイ”。
千葉との一戦のダメージが残る身体は、時折り烈しい痛みが走り、その度に手が止まりそうになる。
苦痛に脂汗を浮かべ、顔をゆがめ、それでも誠二が演奏を続けるのは


『士郎だ・・・』


感嘆の内に洩らした安嬉のその一言で、何もかもが報われた気がしたからだ。


(オレは今まで、憧れるばかりで、現実にしようとはしなかった。
このピックを握りしめて“こうなればいいのに”って願うだけで
独りでいることに慣れきって、努力してこなかったんだ――)


誠二の演奏に合わせ、安嬉の身体が自然とリズムを取り始め、
その指先は、無意識なのかベースのコードを追っている。


(勧誘を断り続けるオレを“孤高のロッカー”なんて呼ぶ奴もいるけど
本当にオレが欲しかったものは、仲間――もっと熱くなれる、一緒に夢を追える仲間だった)


目の前で嬉しそうに、楽しそうに、見えないベースを弾く安嬉の姿に、誠二自身が乗せられていく。


(オレが今“イザナイ”を弾くのは、課題曲だからじゃない)


それは文字通り――誘い。


(オレがこいつを誘いたいからだ!)


静かに演奏を終えた誠二に、安嬉は惜しみない拍手を贈る。


『すげぇええ!! すげぇ! すげぇよ! マジすげぇよ!!!』

『お前は他に言葉を知らんのか?』

『おれ・・・!! 感動した!! やっぱ誠ちゃんは、トップギアに絶対必要な存在だ!!
誠ちゃんなら日本どころか、全銀河を騒然とさせるようなギタリストになれる!!! 』

『全銀河って何だよ』

誠二は呆れ気味に笑った。



固く握りしめてきた拳を開けば、今度こそ掴めるだろうか――。




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category: story 1

thread: 創作モノ

janre: その他

Posted on 2012/08/11 Sat. 20:00  edit  |  tb: --  cm: 0  

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