Chapter2 -4-#07 - TopGear
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Chapter2 -4-#07 

【#07】






興奮を抑えきれないゲスト達が口々にアンコールを唱えだす。
その期待は大きな波となって、ナイキの元へ押し寄せた。
しかしナイキは、尚も動く気配を見せない。
この熱気に当てられ、痺れているのだろうか――それとも


『おい、亡威忌。魂でも抜かれたか?』

グッチは、反応を見せないナイキに痺れを切らし、声を掛けた。

『ククッ、聴いたか? 今の』

『あ? ああ・・・。すげぇな、アイツ』


ミツの歌唱力は、ナイキとグッチの予想を軽く超えていた。
ブレないピッチ、安定したファルセット、リズム感、音域の広さ――。どれもボーカルとして必要な能力は
充分に備わっていた。

ただ、それ以上に、一瞬で人の心を掴む、魅力的で力強い、あの歌声。


『ああ、ホンモノってのは間違ってなかったらしい』


ナイキはあの時、ミツが発した言葉の意味が、ようやく理解出来た。


「オレはケンカができないんじゃない。人を殴る趣味が無いだけだ」


それをナイキは、ケンカのできない「ヘタレの言い訳」平和ボケした人間の「綺麗事」だと嘲った。


(なるほど。これが、お前流のケンカか・・・)


それは、口汚く罵るだけの、レベルの低い口喧嘩でも、暴力的で頭の悪い、言葉の羅列で安全な場所から
攻撃する類のものでもなく。婉曲な表現で、かつ叙情的に、自分のフィールドから面と向かって扱き下ろす。
今までナイキの概念になかった、新しいケンカのやり方だった。


(全て英詞で歌ったのも、俺達を蔑み、愚かだと嘲笑うためか)


見下していた相手からの、予想外の反撃。
そのスマートさに、むしろ関心したように、ナイキは笑う。


『へぇ、アイツのこと気に入ったんだ?』

『・・・ああ、面白いヤツだ』

目を逸らす事なく、真っ向から自分をディスるミツの度胸とその歌声を、ナイキはいたく気に入っていた。

『それならいいのか~? あっさり帰しちゃって~』

『ああ? 白々しい。俺の目は誤魔化せねぇぞ、愚っ血』

『あら、バレてた?』


グッチは、したり顔で右手を開いた。それを見たナイキがククッと、腹に溜めた笑いを吐き出すように
肩を震わせる。


『手癖悪いなぁ。お前』

『褒め言葉、褒め言葉』


グッチは得意満面に頷いた。





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Posted on 2012/04/28 Sat. 03:00  edit  |  tb: --  cm: 0  

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