Chapter2 -2- - TopGear
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Chapter2 -2- 

【#01】







『おい、愚ッ血! あれ持ってこい』

グッチと呼ばれた男は、チラチラとミツの様子を窺うと、ニヤニヤしながら、ナイキに何かを手渡した。

『おい、突っ立てないでこっちに来いよ』

ナイキは顎でしゃくってミツを招く。
ミツはためらいながらも、一歩、二歩と、ナイキの元へと歩みを進めた。


ナイキの手元で、キラリと何かが光る 。

 ナイフだ――。



瞬間、ミツは固まり、息を飲んだ。

それを見たナイキは、タバコをもみ消し
億劫そうにソファーから立ち上がる。

そして、バタフライナイフの刃を開きながら
ゆっくりと、ミツとの距離を詰めて来た。


ミツは思わず後退る。

『おっと、逃げるなよ~』

いつの間にか背後にはグッチが立ち
ニヤ付きながらミツの肩を鷲掴みにする。


ナイキがミツの眼前にナイフを向けた。



【#02】



『俺に忠誠を誓うか?』

『嫌だと言ったら?』

ナイキは薄く笑いながら、ミツの喉元をナイフでなぞる。

『ふん、二度と唄えなくしてやるよ。もちろん、セイジも道連れでな』

『・・・・・・』


ミツひとりなら、二度と歌えなくなってもそれはそれで、構わない。
しかし、誠二から音楽の道を奪う事だけは、どうしても避けたかった。


『わかった』

『いい子だ』

その答えを聞き、グッチが後ろからミツの右腕を掴み
ナイキの方へ向け、突き出した。


『――!?』


ナイキはミツの親指に、そっと刃を宛てがう


一閃。


痛みを覚える間もなく、サッと引かれた細い線に
じわりと赤が滲み始めた。

『血だ・・・』

背後のグッチが舌舐めずりしながら、ゾクゾクと身震いしている。




【#03】



それを確認したナイキは、ミツに一枚の紙とペンを差し出した。

『これにサインして血判を押せ』

『血判・・・?』

『血の契約だ』

ミツは言われるまま、紙面に切られた指を押し付けた。

『いいのかよ、中身も見ないで押しちゃって~』

薄ら笑いでグッチが訊いてくる。 しかしミツは、書面の汚い文字など読む気にもならなかった。


『これでいい?』

ナイキはミツの血判の押された誓約書を満足気に眺めた。

『おめでとう。これでお前もglamourus666の一員だ』

『悪趣味』

『ククク、俺には褒め言葉だ』

グッチも新メンバーの加入を喜んでいる。

『おめでとう!えーっと・・・そういえばお前、名前は?』

ミツは渋々答える。

『・・・・・・安光』

『はんっ安っぽい名前だなぁ』

ナイキが鼻で笑う。

『そうだなぁ・・・お前は、虚越知だ。たった今からグラサタの虚越知だ』

『コーチ・・・?』

『不服か?』

『べつに』

『ソイツはドラムの愚ッ血だ。仲良くやれよ』

『ヨロシクな~。コーチく~ん』

グッチがニタニタと笑いながら、ミツに握手を求め、右手を差し出す。
しかしミツは顔を背け、それを冷たく鼻であしらった。



【#04】



つまらなそうなグッチを余所に、ナイキは身を翻すと
ソファーに腰を下ろし、再びタバコに火をつけた。

『あと、ベースに吐死夜ってのがいるが、そいつは野暮用があってな・・・』

『それで全部?』

『ああ』

素っ気なく答えたナイキは、思い出したように煙草をくわえ
テーブルのゴミの山を掻き分け始めた。

しばらくの探索の後、ナイキはゴミ山の中から一枚のCDを取りだすと
ほらよ。と、それをミツに投げて寄越し、説明を加えた。


『来月のライブで、そいつをお前に唄って貰う。いいか、俺に恥かかせないように、それ聴いて
ちゃんと憶えろよ』

ミツは渡されたCDを眺めた。手書きのタイトル。どうやらデモ音源らしい。

貸してみな。と言うグッチの声にミツが反応した時には
もう既に、CDはグッチの手の中に収まっていた。

(いつの間に・・・)

あまりの素早さに、呆然と空の手を眺めていたミツが、ようやく視線を上げる頃には
グッチが先ほどのオーディオにCDをセットし、鼻歌まじりに再生ボタンを押すところだった。

ミツは爆音に備え、身構えた。

CDが回転を始めると、スピーカーが威嚇の如く吼え猛る。
調子づいたグッチが更にボリュームを上げれば、巨大スピーカーが
空気を揺らし、響く重低音が鼓動のように肺を叩く。

大音響で再生されるノイズ混じりの耳障りなサウンドは
騒音以外の何ものでもなかった。



――数分後、
聴くに堪えない音源を聴かされる、拷問の時間が、ようやく終わった。
どうだ? とナイキに感想を求められ、ミツは小さなため息をついた。

『ヘタクソ』

『ククッ、言うじゃねぇか』


ナイキは笑う。


『まともな耳で、安心したぜ』





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Posted on 2012/04/26 Thu. 00:00  edit  |  tb: --  cm: 0  

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