Chapter2 -5-#03 - TopGear
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Chapter2 -5-#03 

【#03】



夜の街にしとしとと、雨が降る。
タクシーで送るという、吐死夜の申し出を断り、ボブはあらかじめ用意していた
こうもり傘の内に、その大きな身体を収め、夜道を歩いて帰ることにした。


車や人通りも途切れ、静かな住宅街に入ったボブは、肩の荷を降ろすように
その緊張をゆっくりと解いていく。
なぜなら、吐死夜が別れ際に、決まって「気をつけて」と声をかけるのが、
「夜道で人を驚かせないように」と言う、厳重なる注意だったからだ。


『しょんなかたいね』


――それは仕方ない。とボブ自身も思う。
昼間であれば、熊本で有名な、ある公務員の名を借りて、親しく呼んでくれる子供達も
夜に遭遇すると皆驚いて、一瞬固まってしまうのだ。
きっと、「ぬりかべ」とか言う、日本の妖怪に見えていたに違いない――。


ボブは少しばかり近道をしようと、大きなタコ滑り台のある公園へと足を向けた。

外灯の傍らで美しく咲くアジサイと、土の匂い。草葉を雨粒がパラパラと叩き、
時折り優しく吹く風が、木の葉を揺らし、囁くような音の波に包まれる――

ボブは深呼吸をして目を閉じた。この繊細な刺激を堪能するためである。

ボブはこの梅雨と言う、じめじめとした季節が、日本人からあまり歓迎されていない事実が
少し残念だった。


『美しかとにねぇ・・・』


そう呟くボブの耳に、微かな歌声が届く。
ボブはきょろきょろと辺りを見回し、首をかしげた。
気のせいだろうか・・・そう思った瞬間、雨音に混じって
今度は、はっきりと歌声が聞こえた。


ボブは歌声のする、巨大タコの滑り台に近づき、そっと穴倉を覗き込んでみた。
じっと目を凝らすと、暗がりの中で、小さな人影と目が合った。その瞬間に悲鳴が上がる。


『うわっ! 熊だ!』

『く、熊じゃなかよっ』

慌てふためき、必死に否定するボブの声に

『あ! その声はミスターくまモン!?』

『そん呼び方は、やっぱりうちの生徒たいね!』


――しまった! と人影が、焦りの表情を見せた。


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Posted on 2012/04/29 Sun. 02:00  edit  |  tb: --  cm: 0  

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