Chapter2 -5-#01 - TopGear
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Chapter2 -5-#01 

【#01】



ゆったりとした曲が流れる、シックな雰囲気のバーのカウンター。
そこで肩を並べる二人の男を、口には出さずとも、誰もが「不釣合い」だと思っていた。


片方の男が着信を受け、失礼、と断りを入れ席を立つ。
と同時に、女性客の視線が一斉に彼の後を追う。

日本人にしては長身で、女性のように端整な顔立ちに、冴えた光を放つ丸メガネ。
ハーフアップスタイルの長く美しい黒髪に、華を添える、金の簪。
洗練された立ち居振る舞いに加え、独特の雰囲気を纏った彼の麗姿に、女性達は
皆一様に魅了されていた。

一方、カウンターに残された男は、熊のように大きな黒人だった。
軍人並に屈強な体躯と、スキンヘッドにサングラスという出で立ちは、入店時
マフィアか、麗人の護衛かと、緊張感を持って迎えられた。
しかし今では、その強面な外見に似合わず、背中を丸めて牛乳たっぷりの
カルーア・ミルクを飲む姿で、不思議と周囲を和ませている。

この何もかもが対照的な二人は、言葉においても例外ではなかった。
割りと荒い印象を受ける、アクセントの強い九州の方言に対し、
当たりの柔らかい、京都訛りのイントネーション。
その語り口から、彼らが友人関係であることが窺えた。


長髪の男が電話を終え戻って来ると、大男が不安そうな眼差しを投げかけた。


『トシ、今の電話・・・ナイキからね?』

『えぇ、新しいボーカルがみつかったらしいです』

『また、犠牲者が・・・・・・』

そう言って、黒人の大男は悲哀に満ちた表情を浮かべた。
本来なら喜ぶべき吉報であるものが、このバンドに関しては
死の宣告に等しいものだと、彼も知っていたのだ。


『ボブはん・・・そないに心配せんでもええよ?』

吐死夜は子供をあやす様に、ボブの大きな背中を優しく叩いた。
それでもボブの疑念は拭いきれない。

『ばってん、この前ドラムの子が大怪我したて・・・』


吐死夜はそれに応えなかった。
――目の前の惨劇を止められなかった事への後悔と、自責の念。
言葉で肯定するには、それはあまりに重い現実――
彼の悲哀に満ちた瞳が、その全てを物語っていた。



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Posted on 2012/04/29 Sun. 00:00  edit  |  tb: --  cm: 0  

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