Chapter1 -5- - TopGear
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Chapter1 -5- 

【#01】






奏はパソコンの前に座ると荒々しくキーボードを叩いた。その音からも彼女の苛立ちが伝わってくる。

チッと舌打ちをした奏では、誠二達に画面を観る様に促した。
遠巻きに見ていた誠二達が、パソコンの前に集まる。

どうやら奏は、動画サイトから【Glamourus666】のライブ映像を誠二達に観せたかったらしい。

しばらくして、画面にナイキの姿が映し出された。


『・・・ナイキ!』

『これが!?』

誠二の声に、安嬉と瀬能はナイキの顔を確認しようと身を乗り出してきた。

しかし観客が撮った映像なのだろう。手ブレも酷く、イマイチ顔がハッキリとしない。


 「忘れられねぇ名前になるぜ・・・」


あの時のナイキの言葉と冷たい瞳がよみがえる。
まさかこう言う意味だったとは――誠二は再び怒りを覚えた。


しかし次の瞬間――
怒り以上にナイキのギタープレイに圧倒される。

『これは・・・!』

ナイキが自信たっぷりに自分達を見下してきたのも相応の実力を伴っていたからか――。
誠二は不快ながらも、そのテクニックを認めざるを得なかった。

続けて奏は他の動画も開いてみせる。

『あれ? メンバー違くね?』

『ドラムが替わったな』

安嬉と瀬能が異変に気づく。奏は無言で関連動画をクリックする。


『なんだよ! 今度はボーカルとドラムまで替わってんじゃねぇか! どうなってんだよこのバンド』

『これがコイツらの異常性さ』

『異常性・・・?』

『まぁ、観てな』




【#02】



【Glamourus666】の演奏は続く。
ナイキはサブボーカルも務め、終始絶叫するその姿には鬼気迫るものがあった。

パフォーマンスは徐々にエスカレートしていく。
ナイキは酒の入ったボトルを呷ると、客席に向け一気に吹きかけた。
オーディエンスのボルテージが上がる。

その様はどことなくblackoutに似たものがあった。

場の熱気にあてられたのか、ドラムの音が走り出した。

次の瞬間、ドラムの男が盛大に吹っ飛んだ。
画面を注視する三人は唖然とする。

ナイキがギターで殴り飛ばしたのだ。
そのまま蹴りを入れているらしいが、その様子は客の頭と
ドラムセットの影で見えない。


演奏は中断。
ナイキは再び酒を呷ると、ドラムと男に吹き付け躊躇いなく火をつけた。

炎と男の悲鳴が上がる。
客が更なる狂気を煽り出す。

ナイキはそれに応える様に、ボトルを中身ごと客に投げつけた。

「スピリッツ88だと!?」

「88度!? 余裕で火がつくじゃねぇか!」

客席の一角で声が上がり、客が一斉に逃げ出した。

ステージ上にはライターを手に、ナイキが客をニヤニヤと見下ろしている。
逃げ惑う客の姿と悲鳴にまじり、ナイキの笑い声が不気味に響く。



動画はそこで終わっていた。




【#03】



三人は言葉を失った――



『胸くそ悪い』

奏はそう吐き捨てると、タバコに火をつけた。

安嬉はこれが映画のワンシーンで、現実に起きた事とは、にわかに信じ難かった。

『これ、マジなん? パフォーマンスでしょ? 仲間に火ぃつけるなんて・・・』

不安を覚え、思わず奏の顔を見るが、彼女の険しい表情はそのままだった。

『アイツは仲間とか思ってねぇよ。ただ、自分の都合のいい道具が欲しいだけ。
ちょっとでも気に食わなければああして殴って、蹴って・・・酷けりゃ火ダルマにもする・・・。
だから、どのメンバーも長続きするはず無いんだよ』

『これ、死人とか出なかったのかよ』

明らかに一線を越えているナイキの行動に、瀬能もドン引きの様子。

『幸い、今のとこは・・・ね』

奏の含みのある言い方に、こんなバンドに居ては、命にまで危険が及ぶ事を三人は痛感した。




【#04】



『う・・・おぇっ』

誠二が口元を押さえ嘔吐き出した。
顔は青ざめその目には涙が滲んでいる。

『オレのせいで・・・オレのせいで、ミツが・・・あんな目に遇ったら・・・っ』

『誠ちゃん・・・』

『誠二・・・』

しかし、誰一人誠二を責める事はなかった。

誰よりも誠二が自身を責めていて、安嬉達もまた、もう少し到着が早ければ・・・と、それぞれが
悔やんでいた。


『なぁ・・・』

重苦しい空気の中、瀬能が口を開いた。


『どうすんだよこれから』

『分かっただろ? アイツに関わればどうなるか』

『だから諦めろって?』

『これからも音楽続けたいんだろ? アイツはバンドごと容赦なく潰しにくるよ!
今まで何組みのバンドが奴に消されたか・・・!』

『なっ! じゃあなんだよ! ミツの事は諦めて、また新しいボーカル探せって言うのか!?』

『そうだな、今度は真面目に歌う奴を探すんだな』

冷たく言い放つ奏に瀬能の怒りは頂点に達した。

『出来るわけねぇだろ!』

瀬能は二人のやり取りを黙って見ていた安嬉にも矛先を向けた。

『おい安嬉! お前も黙ってないでなんとか言え!』

『オレは・・・』

安嬉が口を開いたその時だった。


――コンコン

誰かが事務所の扉をノックした。


事務所内の空気が、一気に張りつめた。






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Posted on 2012/03/28 Wed. 00:00  edit  |  tb: --  cm: 0  

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