Chapter3 -3-#05 - TopGear
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Chapter3 -3-#05 

【#05】






月曜日の放課後。
日直の瀬能は、教室の窓辺で黒板消しをひたすら叩いていた。

こんな時、思い出すのは昨日の、あのライブ――。
本来ならば興奮に身を震わせ、感動の余韻に浸るところであったが
瀬能の瞳は生気を失い、心は後悔と恥辱の泥沼に沈んでいた――。

(俺は・・・俺はblackoutみたいな、バリバリのロックがやりたいんだ!)

なのに現実は、お世辞にもうまいとは言えないボーカルが、ポンキッキーズへの愛を
訴えるだけのコミックバンド。

理想に遠く及ばない現実に、はぁ~。とため息を落とした瀬能は、黒板消しを叩く手を止め、
ゆっくりと振り返った。

『さっきから、なにジロジロ見てんだよ!』

背後からの視線に気づいていた瀬能は、半ば八つ当たりのように、それへと噛み付いた。

『え? ああ、お前が叩くと、黒板消しも楽器みたいだな~って』

『はあ?』

『それにしても意外だよな~』

『なにが?』

『昨日、サ店でライブしてたの。アレ、お前らだろ?』

ドクン。と瀬能の心臓が大きく撥ね、時が止まる。

『あんなところでライブ出来るんだなぁ』

まさか、

『・・・・・・聴いてたのか?』

精一杯、平静を装って絞り出した一言だった。

『ああ。千葉から逃げてる時、たまたま逃げ込んだ店があそこだったんだ』

知り合いがいないからこそできた暴挙。
それをよりにもよって、クラスメイトの“天音 誠二”に目撃されていたなんて――

『全部・・・見てたのか?』

『あ? ああ。全部見てた』


――終わった。


頭の中は真っ白だった。全身の毛穴から汗が吹き出し、
ドクドクと脈打つこめかみに、目の前がゆらゆらと揺れる。

『わ、笑いたきゃ笑えよ!』

耳の先にチリチリと熱を感じながら、瀬能は涙目で吼えていた。

『はは。まぁ、たしかに見た目はアレだったけどな』

『・・・っ!』

カッコ悪い自分がなにより嫌いだった。
どんなにクールを装っても、所詮は付け焼刃。擬い物でしかない。
せっかく努力して作り上げたイメージも、一点の穴から決壊し、脆く崩れていく。

(なにがクールだ! そうだよ! 俺はただの根暗じゃねぇか!)

自己嫌悪と自己否定に走る瀬能。しかし、誠二の次に発した言葉は、意外なものだった。

『・・・雷』

『は? カミナリ?』

瀬能は不思議そうに窓の外を見やったが、空は昨日の雨が嘘のように、清々しく晴れていた。

『お前のドラムだよ。雷が落ちたかと思うほどの衝撃だった』

『な、なんだよそれ!』

『んー、うまく言えねぇけどblackoutのライブみたいな――』

『blackout!?』と若干食い気味に瀬能は聞き返す。

『ああ。・・・やっぱりお前もblackoutのファンなのか?』

うまく言葉が出ない瀬能は、コクコクと頷くことしかできなかった。

『そうか。どおりで・・・』

その時、ガラリと教室の扉が開き、一人の女子生徒が入ってきた。
瀬能と同じく、日直だった夏花が職員室へ日誌を届け、戻って来たのだ。

『せいじくん、お待たせ!』

『おう。じゃあ、瀬能。また明日な』

『あ、ああ・・・』

仲間がいた。それだけで、瀬能の中でくすぶっていた絶望は嘘のように晴れ、
ジワジワと感動が込み上げてくる。


『もう少し話したかったな・・・』







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category: story 1

thread: 創作モノ

janre: その他

Posted on 2015/04/16 Thu. 20:00  edit  |  tb: --  cm: 0  

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