Chapter3 -3-#04 - TopGear
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Chapter3 -3-#04 

【#04】





いよいよ開演――!

岡村の紹介を受け、スポットライトに照らされたステージに登場する瀬能と椋平に、
客席からパラパラと拍手が送られる。

『あー! トーマスだ!』

トーマスの顔にいち早く気づいた幼児が椅子に立ち、スタンバイする瀬能のドラムを指さした。
一瞬にして注目の的にされた瀬能は、恥ずかしさのあまり顔を上げることができなかった。

『ほら見てママ! トーマスだよ!』

『こら! たっくん、ちゃんとお座りしなさい!』

無邪気にはしゃぐ子供と母親のやり取りに、周囲は和やかな空気に包まれる。
一方瀬能は、うつむいたままスネアのトーマスと見つめ合っていた。

(もうヤダ、帰りてぇ・・・)

すでに瀬能のライフはゼロだった。
そこへ満を持して登場したのは――

『あー! ガチャピンだー!』

『たっくん! 指ささないの!』

ボーカル、小西である。

明らかに先ほどまでの客席と空気が違う。客達は小西から目を逸らし、肩を震わせ、
不自然な咳払いで笑いを誤魔化している。
そんな空気をものともせず、マイクスタンドの前に立った小西が、咳払いをひとつして
挨拶を始めた。

『え~、今日はガチャピンのLIVEにお集まりくださり、有難うございます』

(ガチャピンモドキがいっちょ前にカッコつけんな! 腹立つ!
この中に俺たち目当ての客がいるわけねぇだろ!! アホか!!!)

もったいぶった小西のMCに、瀬能は心の中で毒づいた。

『――それでは、早速聴いてください!! 一曲目・・・“P→chan”!!

『ぶふぉっ!!!』

カウンター席で客の一人が盛大にコーヒーを吹き出した。無理もない。
この出で立ちでこのタイトルコールは卑怯と言う他ない。


(この空気、なんだよこれ! すでに大事故じゃねぇかあああ!!!)

羞恥心が極限に達した瀬能は、正気を失いかけていた。
もはや罰ゲーム。それでも演奏を始めなければいけない。

瀬能は目を閉じたまま、頭を振り、一心不乱にドラムを叩いた。
客の顔もトーマスの顔も、脳裏に浮かぶことを拒絶するように――。

一秒でも早くこの場から消え去りたい! お家に帰りたい!
そんな思いからドラムのテンポも早くなる。

あっと言う間の30分だった。







『みんなお疲れ〜。すごい盛り上がりだったね!』

『はははは。ま、僕達の実力なら当然ですよ!』

『そうそう、当然っしょ〜!』

(なんでこいつら、こんなに自己評価高いんだよ・・・)

相変わらずの小西と椋平に、瀬能はつっこむ気力もなかった。


こうして、瀬能の初ライブは無事、幕を閉じた。思い描いていた
ライブにはほど遠かったが、岡村の言う通り客の反応は上々で、
お笑い芸人のライブかと錯覚するほどの盛況振りであった。






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category: story 1

thread: 創作モノ

janre: その他

Posted on 2015/04/15 Wed. 20:00  edit  |  tb: --  cm: 0  

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