Chapter3 -3-#03 - TopGear
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Chapter3 -3-#03 

【#03】





『あ~雨、やまないね~』

軒先で滴り落ちる雨だれを、うらめしそうに眺めながら椋平が呟いた。
いつの間にか降りだした雨のおかげで、外に出ることもできず、出番まで暇を持て余
した三人は、店の端のテーブル席で昼食を摂っていた。

『それよりお前・・・よく食えるな』

『腹減ってたら歌えんだろ。あ、岡村さん! ナポリタンおかわり!』

『まだ食うのかよ!』

『瀬能っちこそ、コーヒー一杯だけ?』

『ああ、まぁ・・・』

本番前の緊張で、今はさすがに食べ物が喉を通らない。

『ふん、途中でへばっても知らんぞ』

『わかってるよ』

瀬能はほろ苦いブレンドコーヒーを啜りながら、満席に近い店内をぐるりと見渡した。
カウンター席ではマスターと談笑する中年の常連客。一方、こじんまりとしたテーブル
席では、愛を語らうカップルや窓際の席で本を読む学生に、子連れの主婦など。この店
は、様々な客層の憩いの場のようであった――。

『俺達、すげー場違いな気がする・・・』

『ここのマスターはな、大の音楽好きなんだよ』

小西の話によると、無類の音楽好きである店主が、週末の昼の間だけ、有名無名問わず
若手音楽家達の為に、演奏の舞台を無償で提供しているそうで、こうした店主の厚意は、
彼らの様な高校生バンドにとって、大きなチャンスとなっていた。


◇                  


開演15分前――。
舞台袖に、着替えを終えた小西が、全身緑色の奇抜なファッションで現れた。

緑色のパーカーのフードをすっぽり被り、ピンクと黄色のボーダー柄のインナーという
合わせ技で、無理やり感漂うものの、それはまさしくガチャピンカラーである。

(やべぇ! なにこれ!? 凄まじくダサい!!!!!)

ガチャピン愛を主張しているのか、はたまたガチャピンそのものになりたいのか――
どちらにしてもその完成度の低いコスプレに、瀬能は衝撃を受けた。
更に驚くべきは、

『どうだイケてるだろ!』

小西本人が「イケている」と本気で思っていることだった。

(う、薄々気付いてはいたが、ここまでイカレたヤツだったとは・・・)

再確認と同時に、こんな男と同じステージに立つというおぞましい現実に、瀬能は身震
いする。

(――嗚呼、こいつの頭に雷落ちねぇかなぁ・・・)

『どうした瀬能ぉ。震えてんぞ?』

『もしかして瀬能っち、緊張してんの?』

『いや、べつに・・・』


瀬能が帰りたい気持ちと、せり上がる胃液を、涙と共に飲み込んだちょうどその時、
カランカランと、店のドアベルが乾いた音を響かせ、大きく跳ねた。

また一人、雨宿りの客が増えたようだ。





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category: story 1

thread: 創作モノ

janre: その他

Posted on 2015/03/01 Sun. 20:00  edit  |  tb: --  cm: 0  

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